読書の秋

Θ(シータ)は遊んでくれたよ (講談社ノベルス)

Θ(シータ)は遊んでくれたよ (講談社ノベルス)

中盤の、「自殺を止める」というのは「自殺をする権利」を侵害しているのでは?
というやり取りはなかなか考えさせられた。
しかし、森博嗣の哲学って読みごたえは十分だけど、何か人間味に欠けるというか虚構の中の世界というか・・・。いや虚構の世界なんだけど。人が死んだのに、悲しんだり、パニクったり、落ち込んだりせずに、黙々と推理を展開していく登場人物たちが、どこか機械的で冷血な感じがする。まるで殺人事件がパズルのよう。
フィクションだからこそアリだけど、実際にこんなコンピュータみたいに計算ずくな人間がいたら、生理的な嫌悪感が出るだろうな。
笑ったり、怒ったり、泣いたり、時には理屈では説明つかない行動をするのが、血の通った人間だ。